一定程度、予防的手術に携わる者としては、”予測”力というタイトルに惹かれて購入した。
例えば未破裂脳動脈瘤で言えば「大きさはそれほど大きくないけど、なんとなくそのまま経過観察は危ないんじゃないか」とか、髄膜腫なら「この腫瘍は大きくなって、症状を出しそう」と予測するわけだが、それと何か関連する内容があるのかなと。
また、できれば不必要な手術はしたくないので、予測する能力が「鍛えられる」ものなのか、そうでないのかという興味があった。
医者じゃなくても、物事がどうなるか予測するのが仕事という方はたくさんいるし、近所の果物屋さんだってどれくらい売れるか「予測して」仕入れしているはずだ。
この本では主に政府・経済関連などの情報分析に関わる方と、一般ボランティア(とそのなかでも「超予測者」)の比較を行っている。
もちろん、情報分析に携わるプロでも予想が外れることがままあるのだが、それを後から「あなたの予測は外れ」と指摘すること自体がまず難しい。
つまり、「…の可能性がある」という予測を立てた場合、言葉の曖昧さがあるため、「可能性を述べただけ」あるいは「絶対に起こるとは言っていない」という言い訳が入り込む余地ができてしまう。
(当たっていれば、予測が適当でも「ほら、俺が言ったとおりだろう」と適当なことを言ってしまうわけだ。)
予測力は測定するだけで改善することができる!!!というのが著者のメッセージの一つなのだが、その測定の仕方をまず決めなければならない。
このとき、著者は「正確な予測」と「完璧な予測」を分けて考える必要がある、と言っている。
「完璧な予測」というのは「予知」みたいなもの。
筆者らが知りたいのは、例えば「40%の可能性で起こると予測したときに、実際に起こる」という予測の話である。
もちろん1回だけの予測では、優劣を付けることはできなさそうだが、それでも「10%の可能性で起こる」と予測して、実際に起こったのなら、その方が「予測力が高い」という評価になる。(曖昧さが減っている)
このような評価方法としてブライアースコアという方法を用いている。 (続く)
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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