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執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

老化を止めるには

更新日:2021年5月1日

ご高齢の(元気な)患者さんに訊くと、ほとんどの方が「ぴんぴんコロリと逝きたい」と仰るが、それでも手足もきちんと動いて、アタマも働くのなら長生きしたいのではないだろうか。


健康なまま長生きできるのであれば、自分はそうしたい。


今週(9/21)の東洋経済にも書評が出ていた「老いなき世界」


著者は老化をどうやったら食い止められるか、さらには若返ることができるかを真剣に研究されている基礎医学者で、プラセンタとかプロポリスのような似非(?)ではない。

なので、成功した科学者の著作の例に漏れず、読み始めるとすぐに引き込まれてしまう。


著者によると、もともと原始の生命ができたばかりのころ、①遺伝情報を伝えるはたらきを持ち、②その遺伝情報にノイズが入ったときに、そのノイズを取り除くはたらきができるようになった祖先が生き残り、現在に至っている(と考えられる)。


老化は、そのノイズが蓄積するために起こるので、②のノイズを取り除くはたらきを助けてやれば良いのではないか?


実際にはサーチュインというタンパクが、このはたらきを担っているのだが、その発見や、なぜサーチュインのはたらきが落ちるのか、どうやったらもっとはたらくようになるのか、を酵母やマウスで20年にわたり研究されている。


基本的なメカニズムは、酵母もマウスも同じであり、ヒトでも同じはずだ、ということで実際に著者自身も、そのためのサプリを飲んでいるということ。


もちろん、老化を遅らせることは、医療資源や格差の問題をさらに深刻にする可能性があるが、実際に"健康寿命"が伸びるのであれば、(定年&年金を無くせば)医療費を含む多くの問題は解決するのではないだろうか。


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え−、それで、どうやったら健康長寿になるの??

という点に関しては、もちろん科学者なので、実際には

「薬を飲むグループ」vs 「プラセボ」

で二重盲検試験を行わないと、科学的に有効とはいえないと断りを入れている。


しかし、最後の方に、著者が行っていることは書かれていて、そのサプリを飲ませている父親(80歳)は実際に若返ったように活動的になっているということだ

(つまり症例報告レベルの証拠(!?))


その内容は

・NMN (ニコチンアミドモノヌクレオシド) 1,000mg+レスベラトロール1g + メトホルミン1g 内服

・ビタミンD、K2の1日推奨量

・アスピリン82mg

・砂糖、パン、パスタをできるだけ少なく

・1日のどれか1食を抜くか、少なくとも少量に抑える

・(自社の)血液検査マーカーを毎月チェック

・毎日できるだけ歩く

・植物をたくさん摂取し、ほ乳類(肉)を避ける

・電子レンジ、紫外線、レントゲン、CTを避ける

・日中・就寝時は涼しいところにいるようにする

・BMIを維持(太らないようにする)


(あくまで実験レベルの話なので、興味がある方は実際に本を読んでみて考えましょう)

(2020/9/23 訂正メトホルミンも飲んでいると書かれていました。)


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読み終わって、さっそくNMNレスベラトロールを注文しました。

(自分で実験予定。しかし、NMNは高いです)


NMNは高容量のものは、高級化粧品(イメージです)並の値段がするのでおいそれとは手が出ません。

レスベラトロールはAmazonで買えるものでは1g摂れませんが、お腹を壊すことがあるようなので、少量から試してみることに。


(あくまで実験レベルの話なので、興味がある方は実際に本を読んでみて考えましょう)


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知っている方は知っていますが、自分はもともと「2年くらい脳外科をかじって、その後、基礎研究をしよう」と思っていた人間なので、この手の成功した基礎科学者の本を読むと、

「ああ、もしかしたら、そういう人生もあったのかなぁ」

などと思ってしまうわけです。

健康に寿命が延ばせるなら、もう一度、別の生き方だってできるなあ、と思いながら読みました。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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