脳ドックは、日本以外では見られない仕組みだが、その効果?の一部を調べた論文。
J Neurosurg. 2018 Apr 6:1-6.
Detection rates and sites of unruptured intracranial aneurysms according to sex and age: an analysis of MR angiography-based brain examinations of 4070 healthy Japanese adults.
22歳以上で3T MRIで脳ドックを受けた人、4070人の中で2mm (!) 以上の動脈瘤が見つかった人はどれくらい? という論文
結果としては176人(4.6%)に2mm以上の動脈瘤が見つかったが、そのうち46%は3mm未満。35%弱は4mm未満。
日本人では通常5mm以上の未破裂脳動脈瘤について治療を考慮するが、その割合はたった7%だった...
つまり、4070人を調べて、一般的に治療を考える動脈瘤は14個 (~0.3%)
脳ドックはもともと、いったん出血すると予後が悪いことが非常に多いくも膜下出血を予防するために始まったのだが、脳ドックで防げるくも膜下出血というのは実際にはかなり少ない。
(見つかった動脈瘤を持っている方が、全員出血を起こすわけではない)
一方、脳ドック自体は保健診療ではないが、一旦未破裂脳動脈瘤が見つかって、治療の必要はないとなった場合、これを”病気”として、定期的に保険診療で経過観察することになることが多い。
以前に京都赤十字病院のドクターが、「(小さい)未破裂脳動脈瘤の経過観察は保険診療で行うべきではないのでは?」と発表して議論になっていたが、3mm未満の動脈瘤を、少なくとも毎年経過観察する意味はないだろう。
もちろん、脳ドックで見つかる病気は、未破裂脳動脈瘤だけではないので、この結果だけでその意義を問うのは適切ではない。
しかし当初の目的(=くも膜下出血)にどれくらい寄与したか、については真摯に検証する方がよいのではないだろうか?
ちなみに、未破裂脳動脈瘤の治療自体は、疫学的には(統計に出てくるくも膜下出血を防ぐという意味では)ほとんど意味が無いが、「いったん見つかった個人に関しては」意味がある、というのが一般的な考え方だと思う。
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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