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執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

頭痛に整体

実は医学部の学生時代から、整体に興味があります。


というのも、学生時代、部活(スキー)の合宿最中にぎっくり腰になり、全く動けなくなった挙げ句、もう少しで便失禁するところだったりしたのですが、合宿させていただいていたホテルのオーナーの紹介で、急遽、都内の整体を紹介いただいたのが始まりです。


当時は筋力はそこそこあったので、腰が痛くて下半身には力が入らない状態ながら、両側松葉杖をついてその治療室に行ったわけですが、ほんの数分、徒手筋力テストのような処置をしてもらうと、(あら不思議)、その瞬間から松葉杖無しで歩けるようになり、松葉杖を抱えて治療室から出てくるという経験をしました。

当時は予約制でなかったこともあって、待合室にいっぱい患者さんがいましたが、松葉杖でようやく移動していたのが、スタスタ歩いて出てきたので、知らない人にはサクラと思われたんじゃないでしょうか。


その後、やはり部活で左の内側側副靱帯を伸ばしてしまったことがあり、試合間近だったこともあって、なんとかならんか?ということで相談したら、やはりコチョコチョと3分診療で、多少の痛みはあるもののスキーの試合に出場できるまで復活させていただいたことも。


整体なので、もちろんお医者さんではなく、こんな治療があるというのも知らなかったので、いろいろ関連する本を読みあさったりもしました。


しかし残念ながら、手術もそうですが、こういう手技に関わることを座学だけでマスターするのは困難だということが、学生ながらに分かりました。


学生のときは(就職先として)整形外科にも少し興味があったのですが、こういう経験をすると少し色褪せて見えてしまったこともあって、脳外科を選んだという、結構大きい影響も受けています。


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実は、脳外科の専門医を取った後ですが、その先生に「月2回くらいしか来れないけど、見学させてもらえませんか」とお願いしたこともあるのですが、「見学だけしても無理だよ。木村君は脳外科の手術で患者さんを救ってあげなさい」と言われ断念したこともあります。


整体の流派によっては、背骨をバキッとやったりして、特に頸椎では椎骨動脈解離で脳梗塞を起こす方がいるというが脳外科医の一般常識なのですが、脳外科の専門医になっても、整体への興味が尽きない理由の一つは、頭痛やしびれの診療です。


頭痛を理由に脳外科の外来を受診される方は非常に多いのですが、くも膜下出血や脳腫瘍の患者さんがそんなにたくさんいるわけもなく、大半の患者さんは片頭痛、緊張型頭痛、天気痛etcなわけです。


片頭痛については、内服薬や注射薬があり、効く患者さんには、ある程度満足いただけていますが、緊張型頭痛は「有酸素運動・ストレッチしましょう」的なアドバイス(と内服薬)が主体なのではないでしょうか。


緊張型頭痛と片頭痛は、実は連続した病態であると書いてある本もありましたが、緊張型頭痛は肩、首、肩甲骨周りのコリから来ることが多い、とされています。


で、このコリからくる頭痛に整体が合っていることが多いんじゃないかと思っています。


とは言っても、整体というのは国家資格では無く、「当たり外れ」が多いというのが正直なところではないでしょうか。

自分が通っていた先生は元もと理学療法士(国家資格)ということでしたが、クチコミ以外には上手い人を探すのは難しそうというのが大きな欠点です。

(一般の方が外科医を探すのも同じですが)


また上記のような、脳梗塞を起こすような合併症もあります。


そこで、座学etcでかじった整体の知識を元に書いていいのかどうかは微妙ではありますが、いわゆる緊張型頭痛で病院を受診されるような方では、肩甲骨周りの筋肉が凝っていることが多いのではありますが、それ以上に股関節周り、特に中臀筋や小臀筋が緊張していることが多く、大腿部も含めた大きい筋肉のせいで身体のバランスが悪くなっていることが多そうなのです。


なので、肩甲骨まわりも重要なのですが、それ以上に股関節周りの大きい筋群をストレッチするのが良いようです。


自分で行う分には、背骨をバキッということもないので、安全性も高いはず。


いろいろ股関節のストレッチ本が出ていますが、Kindle unlimitedに含まれていた、この本のストレッチの部分は、腰から下をやっていますが、お薦めできると思いました。

(腰から下のストレッチ(伸ばす)以外の部分は試していません。あしからず)





もし良ければ参考にしてください。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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