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執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

医師の説明を録音するのはありか?

更新日:1月31日

スマートフォンが普及したことで、写真やビデオを撮ることが簡単になり、「撮影する」という行為の敷居が低くなりました。

その延長だと思いますが、(録画は少ないですが) 外来でも入院中でも、ときどき患者さん本人、もしくはご家族に、病状の説明をしている際、録音されることがあります。


未破裂脳動脈瘤, 脳腫瘍
録音するならそう言ってする方が音質もよい。

Twitterでも時々話題になり、(その中では)どちらかというと、あまり快く思わない人が多そうです。


理由はいろいろありますが、言質を取られるのが嫌だ、ということが主な理由でしょうか。

あるいは、鞄の中などでこそこそされているのが、不愉快という医師もいます。


ただ、例えば外来で患者さんに手術を提案した際、「本人が全て決めます!」という方も中にはいらっしゃいます。しかし、家に帰って家族にも相談したいという場合、ご本人の(うろ覚えの)情報だけでは判断が難しいでしょうし、音声でも動画でもある方が、判断しやすくなるでしょう。


実際、以前に担当した患者さんのケースで、ご家族が日本語はあまりしゃべれず、「ドクター、私、日本語よく分からないから、録画して(日本語が)分かる友だちにも見てもらってもいいか?」ということがあり、ゆっくり説明するのを録画してもらったことがあります。


これは日本語の問題が主でしたが、、全然知らない医療用語が出てくると、そこで思考停止になってしまう患者さんもいます。

(「専門用語はできるだけ使わず、分かりやすい説明を」というのは最近では医学部でも教わると思いますが、それでも一度で内容を理解するのは必ずしも簡単ではありません)


そのような場合、後から聞き直すことができるというのは大きなメリットになるでしょう。


トラブルになった場合に、録音された内容が医療者側に不利に働く可能性はあり、それは僕も(もし訴訟になったらどうしよう...)と全く考えないではありませんが、一般論としては非専門家である患者さんの利益になるように配慮するのがいいように思います。


ただ、少し勇気がいることかもしれませんが、

「家族とも相談したいので、録音(録画)させてもらえますか」

とストレートにひとこと訊いていただく方が、話す方もそういうつもりで話すので、スマートかなとは思いますし、話者の方を向ける方が、録音された内容も聞きやすいと思います。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)


(「絶対嫌」という医師もいますので、その場合はその後の関係性なども考慮の上、ご判断ください。)

(肖像権などの問題がありますので、あくまで治療の判断・意思決定のために用いることが前提の話です。)

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