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執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

再開頭手術のtips


再発三叉神経痛の手術については、教科書?にも書かせてもらったが、最近再発髄膜腫(かつサイバーナイフ不適例)の手術がしばしばあったので、再発手術の、特に一般的な開頭のtipsについてメモしておく。



1. 皮膚切開の目印は線ではなく、点(dots)で繋げると、前回手術と同じように切開できる。


創の虚血を避ける、また整容的な点からも、前回手術と同じ傷で切る必要がある。

但し、皮膚マーカーペンの幅のある線の上をなぞるのは意外に難しいし、18G針でマーキングするにしても、さらにその上を正確になぞるのは難しい。

結局ドレープを切って、実際の創を見ながら切るという操作になったりする。

部分剃毛の場合にドレープが剥がれると、手術の序盤から術野に髪の毛が出てきて、これもまたストレスだ。


なのでドレープをかける前に、前回創を1~1.5cm間隔のdotsで繋げておくと、視認性良く、ドレープの上からでもかなり正確に切開することができる。


2. 電気メスが有用。


特に皮膚と骨弁の剥離では、骨切り線やプレートの間に結合組織が入り込んでいるが、これに対しては、皮膚をフックで牽引した状態で、出力低めの電気メスで切開することで、出血を最小限に抑えることができる。

特に再発脳腫瘍などでは、骨弁や、結合組織からのじわじわした出血が長く続くことになるので、出血量を抑える点でも有効である。


但し、電気メスの出力調整が大事で、どれくらいの出力ならどれくらい切れるか、組織が凝固されるかを把握しておく必要がある。骨欠損部で、結合組織の奥が硬膜になっている時などは、硬膜を損傷しない出力、向きで操作ことが重要。


ちなみに、自分の手術では電気メスの出力はかなり低めだ。

術者なり助手なりがドライな術野を確保すれば、低出力で十分切開可能だし、余計なものを切るリスクを軽減できる。

また少し主旨が異なるが、このような操作にはコロラドニードルのような尖った電気メスより、普通の平たいヘラのような先端の方が操作性がよいように思う。


3. 硬膜などの露出部分は生食ガーゼなどで覆う。


通常の手術でも同じであるが、特に再手術ではoozingによって、知らないうちに予想外の出血量になりうる。

ガーゼで覆って常にwetな状態にしておくことで、出血を抑え、(ありうる)落下菌が術野に残ることを防ぐ。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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