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執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

ボイストレーニング の話 2/2

更新日:2018年6月27日

その後も、特に上司に、結構頻繁に聞き返されたり、(聞こえていなくて)スルーされることがしばしばあった。


また、聴神経腫瘍の患者さんは、高い音から聞こえなくなっていくことが多いが、そうすると上司の声は聞こえるが、私の声は聞こえないというシーンを経験することがあった。頻度は高くないものの実務的に困ることは克服しなければならない。


そんなとき、たまたま読んだThe 21というビジネス誌(PHP研究所)に、ビジネス・ヴォイストレーニングというのがでていた。


「業界にかかわらず、同じような悩みを持っている人が結構いるんだろうな」とは思ったが、ときどき見かけるヴォイストレーニングスクールと違っていたのは、音大の声楽科出身の方が講師というところだった。


声楽家なんて、まさに生まれ持った才能が一番重要なのでは?と思ったが、正しく声を出すには、正しい身体の使い方をする必要があるとのこと。


そして声楽家とは、その正しい身体の使い方を理論からたたき込まれている人たちであり、彼らの発声の理論は、普通の仕事での発声にも役立つということだった。


「理論」に弱いのと、体験レッスンの場所が比較的アクセスしやすかったので、試しに行ってみた。


詳しくは秋竹朋子さんの著書を読むなり、レッスンを体験していただきたいが、主に学んだこととしては、

  • 喉まわりだけで声を出しているので、これを腹式呼吸で声を出すようにする必要がある。

  • 腹式呼吸をしながら、呼気に声を乗せる

  • 吐く息の量、早さを調整するなど。

身体を使って声を出すと、体幹が響くのが実感できるが、それによって倍音?が出ることで聞き取りやすくなるのだろう。


実際に前職のスタッフと話すことがあったが、「声通るようになったんじゃない?」というコメントもあった。


実際のレッスンを受けて思ったのは、こういう”身体の使い方”を学ぶのは、教科書や座学だけではなかなか難しくて、その場でのフィードバックが非常に重要であるということ。

(妻には呆れられたが、この点で受講料はよい出費であったと考えている)


手術でも、座学でビデオを見るだけでは、やっぱり肝心の所が分からないことがあって、このとき患者さんの頭の向きはどうなっていて、術者はどういう姿勢で処置を行っているか、ということが具体的に想像できないと、うまく習得というか、理解ができないことがあるのと少し似ている。


しかし一方で、長年の習慣の方が優性で、気を抜くとやっぱり喉まわりだけで話していることに気付き、愕然とすることがしばしばある。


やはり身体の使い方を変えるのは難しい。


ボイストレーニング,身体性

(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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