未破裂脳動脈瘤が見つかった場合に、治療を選択をしなかった場合には、多くの場合、経過を見ましょうということになる。
見つかって治療されなかった動脈瘤はどれくらいの頻度で大きくなるのだろうか。
J Neurosurg. 2016 Dec;125(6):1374-1382.
Aneurysm growth and de novo aneurysms during aneurysm surveillance.
Serrone JC, Tackla RD, Gozal YM, Hanseman DJ, Gogela SL, Vuong SM, Kosty JA, Steiner CA, Krueger BM, Grossman AW, Ringer AJ
米国のクリニック(@Cincinati, Ohio)で、最初の2年間は半年毎、その後は1年毎に検査して、5年経過して変化がなければそれ以上は検査を勧めないという方針で経過観察を行ってきて、その結果を後方視的に解析した。
増大の有無は、2人の読影者で意見が一致したもの。
その結果、192人(234個の動脈瘤)が該当し、増大の有り/なしで、univariate logistic regression analysisを行った。
平均3.2年の観察(621人・年)で、234個の動脈瘤のうち28個に増大が認められた。
それに加えて4個の新規(de novo)動脈瘤が観察された。
つまり何らかの動脈瘤の変化が見られたものが、746件の画像検索で31件あった。(3人は増大&新規動脈瘤)
それらの変化が見られるまでの平均観察期間は発見後2.2年だった。
増大に寄与する因子としては、「動脈瘤の大きさ」のみ(OR 1.15(1.05-1.27))だった。
注意が必要なのは、対象が米国人ということ。
7mm未満は原則治療適応としていないためか(?)、大きさの区切りが3mm未満の次は3~6mmになっていること。3mm未満での増大は1件のみ。
おそらく治療も検討されるだろう7-11mmの動脈瘤では8/32 (25%)が増大していた。
増大する動脈瘤は出血のリスクが高いという複数の報告があり、5~7mmの部分には治療適応の決定には議論が必要かもしれない。
一方で、米国人の3mm未満と日本人の3mm未満を同じように考えて良いかどうかは検討が必要だが、小さい動脈瘤の頻度は低く、あまり心配しなくてよいだろう。
Comments