手術のプレゼンテーションをする、もしくは聞く際、「頭部を左に30度ローテートして…」というように、角度の話をすることがある。
が、大体の場合、この角度は適当なことが多い。
手術の再現性& 自分がいなくてもある程度手術が始められるように、きっちり角度も決めて始める方がよいだろうと思って、小学校の先生が使うような大きい分度器を買ったりもしたが、あまり上手くいかなかった。
しかし、現在ではスマートフォンのアプリに、角度を測定できるアプリが色々出ていて、これを用いると簡単に角度が測れる。
そうすると角度計なしでやっていた頃の記載が、いかに外れているかが分かって面白い。
まずベッドアップの角度。
これは、ベッドの側板にスマートフォンを沿わせて測ることで容易に測定できる。
ICUで使っているベッドなどでは測定することができるものもあるが、外傷でよく言われるように30度までは脳灌流圧を維持しつつ脳圧を下げられるとされる。
普通の手術でも頭を高くする方が、静脈からの出血を抑え、脳圧も下げられるので有効だが(もちろん空気塞栓には注意が必要)、実際に測定すると30度上げて手術をするのは、術者が座った状態ではなかなか困難なことが分かる。
自分の手術では大体10~15度くらいで行っていることが多いということが分かった。
次に左右のrotation。
これは3点ピンの位置によっていろいろ測り方を工夫しないといけないように感じる。
しかし大まかには、両側眉弓にスマートフォンをあてがう形で測定すれば、角度を求めることができる。(図)
そうすると、45度とか60度rotateというのは、特に頚が短い方では容易には達成できないのではないかと思う。
Vertex up/down
これについては、おでこの立ち上がりが意外に個人差が大きいので、今のところ簡単な方法が思いつかない。
…実務的にはスマホアプリで、測定できるようにはなったが、やはり体位取りは非常に大事なので、余程の緊急手術でなければ自分で体位を取ることには変わりなく、省力化にはまだ繋がっていないのが現状である。
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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