この超予測者にいたる筆者の以前の研究についても書かれている。
政治や経済のトレンド分析を行っている官僚や研究者、つまり本物のプロに"匿名で"、国内問題・国際問題、政治/メディアなどに関する予測を立ててもらった。
結論としては、その成績は「チンパンジーが投げるダーツ」レベルの精度だった。
(チンパンジーが投げるダーツって、原典はこれか...)
それでも、その対象の中で成績がチンパンジーレベルと多少良いレベルに別れた。
成績が悪いグループでは、自分の主義信条を中心とした考え方をするが、多少良かったグループでは他の意見も取り入れる柔軟性があったということ。
ああ、やっぱり柔軟に考えられた方がいいよね。
しかし、この成績が悪かった、主義信条を中心に考える専門家像の方こそ、「なるほど!!」とうなずかざるを得なかった。
この頑固な専門家は「ゆずれない信条」を持っており、次に何が起こるか判断するときに常にそれを使おうとする。
思想信条をエネルギー源に、シンプルで隙の無い、明解なストーリーを作るので、聴衆は思わす引き込まれる。
単一の視点に依拠し、他の視点や、そこから生じる面倒な疑念・警告サインは一切考慮せず、「しかも」「その上」と自分が正しい理由を積み上げていく。
聞き手に安心感を与えるので、キャリアにはプラスに働く。
一方、もう片方のグループでは、何かが「確実」あるいは「不可能」と言うことを避け、「かもしれない」といったぼんやりとした表現を選ぶ傾向がある。
=テレビ向きでない。
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これ、本当にそう思う。特に仕事関連で多くて、苦笑せざるを得ない。
学会でも「絶対クリッピングの方がいいんだ!!」とか「絶対SRS」って言っている人の方が目立つし、聴衆が集まる。
臨床で「絶対」なんてあるわけないのは、当然みんな分かっている訳なので、これはもう半分演出なんだろうけれど、それが自然体でできるというのは、やはり才能。
良識的な人は、それと比べると遙かに「地味」。
(地味だから良識的ということでは、全くありませんが)
確かに聞き手に安心感を与える、というのは重要だと思った。
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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