本書のメインの部分
IARPAというアメリカの組織で、情報機関の活動の質を高める研究を支援する役割を負っている。そこで雇っている情報分析官が、予算に見合った質を提供出来ているかを調べるプロジェクトの一つとして、予測トーナメントを行った。(予測のタイムスパンはほとんどが1ヶ月以上1年未満)
著者らのGJP (Good Judgement Project)というボランティアを集めたグループは他の一流の研究者をリーダーとする5つチームに圧倒的な勝利を納めたが、2800人のボランティアの中でも60人弱の人は”超予測者”というべき成績をあげた。
そこで、この「超予測者」たちは他のボランティアの人たちとは「どこが違うのか?」という点に関していくつかの視点から議論を進めている。
例えばブライアースコア高得点を叩き出した超予測者たちは天才なのか?
確かに数学が得意ということも多い。
しかし、むしろ、いろいろな視点からものを見ることができることが重要としている。
つまり、一つの見方、考え方に固執せず、他の見方を試すことが出来る。
そして、最初の答えが間違っている場合には、躊躇無く訂正することができること。
予測力を高めるためには?
著者は予測力というのは高められる能力であり、予測力を高めるためのいくつかの方法を提示している。
実際にこの方法論を説明するだけでブライアースコアの改善が見られたらしい。
その方法のいくつかを挙げると、
1. 予測を立てるべき問題を選ぶ
答えの出ない問題を考えても仕方がない。
2.視点を変える
どんな問題でも自分の意見と対立する意見を考える。
3. 予測の曖昧さをなくす。
4.誤った理由を検証する。
つまり、細かく予測することで、PDCAを回す。
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ところで、この本で未破裂脳動脈瘤からの出血を予測できるようになるかというと、それはやっぱり困難だ。
というのは、「出血するリスクが例えば今後5年間で10%くらい」と”予測”した場合、手術リスク(血管内治療も含む)が余程高くなければ、治療を勧めるし、多くの患者さんは治療を受けられるからだ。
そのため、自分の予測が「当たった」かどうかというフィードバックがありえない。
(治療をお勧めしたけれど、経過観察を希望された方が、不運にも出血し、その情報が伝わったときのみフィードバックを得られるが、これは避けたいところ。)
逆に「この部分でこの大きさなら、問題ありません。」という方は、予測可能かもしれないが、そもそも毎年経過を見る必要がないし、イベントがまず発生しない。
つまり、これは答えの出ない問題の可能性が高い。
ただ、手術のリスクに関しては検証可能なので、予測力を高められる可能性があり、検討してみたい。
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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